勉強嫌いが司法試験目指してみる

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法科大学院生による勉強記録。日々の悪戦苦闘を綴ります。

話の「射程」を考える~他人の考えをどの程度受け入れるべきか?~

こんにちは。karasunです。

 

今日は「射程」という概念について考えたいと思います。

もしかしたら聞き慣れない言葉かもしれませんが,法学の世界ではわりとメジャーな言葉です。

今回は,その「射程」を日常生活にも応用できるのではと思い書くことにしました。

 

 

 

射程とは?

さて,「射程」とはなんでしょう。

ズバリ結論から言えば,ある事象に対するある判断・考えが,世の中の他の事象にどの程度広くあてはまるかということです(と,少なくとも筆者はそのように解釈しております)。

 

 

……わかりにくいですよね。

例えば,買物で考えてみましょう。ちょっと頭の体操っぽくなりますが,良かったらご覧ください。

 

Aさんの近所のスーパー「イオン」で大特価セールが来たとします。

これに対し,買物の達人であるAさんが「このセールではパンを買うべきである。」という判断を下したとします。テレビとかでコメントしちゃったりなんかして。

 

一方で,時を同じくしてBさんの近所のスーパー「西友」でも大特価セールをやっていたとします。

さてこの場合,テレビでAさんの話を聞いたBさんは西友でパンを買うべきでしょうか?

 

答えは「Aさんの判断の理由とその時の事情を聞いてみないとわからない」です。

 

Aさんが「近頃パンの値段が異様に高騰していて,安く手に入らないからセールで買うべき」という理由・事情で判断を下したのであれば,Bさんも買うべきです。

 

Aさんは「パンが高騰する中,セールでは安く買える」限りで「買うべき」と判断しています。

そうすると,Bさんが西友でパンを買うか迷った時にも,Aさんの判断を流用できるわけです。

 

一方で,「イオンでセール中にパンを買うとポイントがたくさん付くからパンを買うべき」という理由・事情で判断を下したのであれば,Bさんは買うべきではないかもしれません。

Bさんが西友でパンを買ってもイオンのポイントは付きませんからね。

 

他にも「イオンと西友のパンの種類・質は同じか?」「Bさんはパンが必要なのか?」「金銭的余裕はどうか?」などなど,様々な条件でAさんとBさんの下すべき判断は異なってくるわけです。

 

このように,ある一つの考えを他のモノゴトにあてはめる(一般化する)にあたっては,その理由・事情も考慮しなければ誤った判断を下すことになるのです。

 

理由・事情を考慮した上で,ある考えを一般化できる範囲を「射程」と呼んでいるわけです。

 

下のイメージ図で言えば,判断という名の弓矢は黄色い範囲であればどこでも射貫き(妥当し),問題を解決することができます。

しかし,その外,水色の範囲にある問題Bを解決することはできません。

 

▼射程のイメージ

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他人の考えをどの程度受け入れるか?

さて,いよいよ本題に入りますが,他人の考えをどの程度受け入れるか?ということは非常に悩ましい問題ですよね。

 

筆者は,次のような複数のステップに分けて考えるべきだと思います。

 

①話の真偽を考える

まず,その人の言っていることが正しいのか,疑わしいのか考えます。これが一番のハードルな気もしますが笑

その人の信用性,理由→結論の妥当性,他のソースとの整合性等を総合的に見て決める訳ですね。

 

とにかく,その話がどうも確からしいということは判断の大前提なわけです。

 

②自分にも射程が及んでいるのか考える

これが本題。

その人の言っていることが正しいとしても,自分の場合にも適用していいのか考えます。

「Aさんの言っていることはもしかしてAさん限りで正しいのであって,自分にあてはめると違うのかもしれない。」と考えるべきです。

 

③その考えが最も優れているか考える

これは意外と見落としがちですが,その人の考えが自分にも妥当するとしても,他に選択肢がないかまで考えるべきです。

 

例えば,仮にAさんの「パンを買うべき」という判断が正しく,しかもBさんにも同じことがあてはまるとしても,Bさんは本当はごはん派だったらどうですか?

 

この場合,ひょっとしたらBさんとしては「パンを買うのも悪くないけど,ごはんを買うのがベスト」という状態であるのかもしれません。

 

同じ「正解」の中でも「大正解」を目指すべきときがあるのです。

 

このようなステップを踏まえて,最終的に「自分が」オリジナルの判断を下すべきなのです。

「パンを買う」という簡単な例でもこの有様ですから,他人の考えが100あてはまるということは滅多に無いんだと思います。

 

射程を見極めるコツ

コツという大それたものではありませんが,私が日ごろ他人の考えを見たり聞いたりするときに指標としているものをご紹介します。

 

まず,その人と自分の共通点,相違点を考えます。

ブログ運営の記事を読んだとしたら,「この人も自分も毎日記事を投稿している」とか「この人は初めて1年も経っている,自分はまだ1週間」とか「この人はPROだけど自分は無料版」とか。

 

次に,その人の考えの理由・事情を検討します。

これは,パンの例でも言いましたよね。

 

そして,その理由・事情に基づいてそれぞれの共通点,相違点に重要度のランクをつけます。

例えば,「毎日投稿」が重要度80で「PRO版」の重要度が20だとしたら,PRO版を使っているか否かということは無視していい相違点ですよね。

 

その人の話はある程度受け入れて良い,ということになります。

 

筆者もよくあるんですが,このとき気を付けるべきは「自分の願望で重要度を無視してはならない」ということです。

「PRO版」の重要度が80なのに,無料版でも何とか解決できないかと願うあまり,「毎日投稿」という共通点を見つけて嬉しくなって自分にも当てはまてしまうのです。

 

この場合,自分がPRO版を使うか,あるいはこの記事は自分には使えないと諦めるしかありません。

このランク付けを見誤らないようにしたいですね。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

ちょっとわかりにくい話ばかりでしたが,自分の考えを整理・備忘録ついでにネットに垂れ流した次第です。

 

よくメディアリテラシーが云々とか情報を鵜呑みにするな,とか言われますが,じゃあどのように見極めればいいのか,という方法論はあまり教えてくれないですよね。

 

日常の中で,判断に迷ったときはこの「射程」の話を少しでも思い出してくれると嬉しいです。

 

もちろん,この記事の「射程」があなたに及ぶか否かもあなた自身でよく考えてください

 

なんちゃって。

てことで,今日はこの辺で!ごきげんよう